1. はじめに
みなさん、こんにちは。
FutureStandardでエンジニアをしています、田本です。
会社のブログを書くのは初めてですが、よろしくお願いします。
今回は、弊社の監視カメラのある案件で使用した面白い通信機器を紹介したいと思います。
東洋電機さん(開発: 太陽誘電さん)の空間光伝送装置「SOT-ES100」です。
「光による無線伝送」という大変面白い製品ですので、その時の評価レポートをまとめました。
2. SOT-ES100とは?
LANケーブルの信号を光に変換して無線で送受信するメディアコンバーターです。
他の通信方法と比較すると、下記のような利点があります。
・ケーブルを這わせたくないような場所からも、ネットワークに接続できる。
・初期設定不要で使用できる。
・電波の混雑などでWi-Fiが使えない場所でも通信できる。
・Wi-Fiなどと比べ、通信の傍受がされづらい。
・電波法認証不要で使用できる。*1
・屋外でも使用できる。*2
・最大で200mまで通信可能。*3
現状の最大伝送速度は10Mbpsですが、将来的に100Mbpsに対応されるとのことです。
|
有線LAN |
(無指向性) |
(指向性) |
光無線通信 SOT-ES シリーズ |
|
最大通信速度 |
100Gpbs |
1Gbps |
30Mbps |
100Mbps |
10Mbps |
最大通信距離 |
100m |
100m |
10km |
- |
200m |
配線の有無 |
あり |
なし |
なし |
なし |
なし |
電波の干渉 |
- |
弱い |
弱い |
弱い |
強い |
通信の傍受 |
強い |
弱い |
弱い |
弱い |
強い |
初期設定 |
不要 |
必要 |
必要 |
必要 |
不要 |
外観
上面: LEDで通信強度がわかります。
前面: 送光・受光部です。
後面: LANケーブルの挿し込み口がついています。
3. 製品評価の概要
性能の実測や、光ならではの性質を利用した実験を行いました。
本体にLANケーブルが挿せるようになっていて、AとBの間でデータを送受信できます。
今回はAの方にNTTのモデムを、Bの方にパソコンをつないで実験してみました。
3. 1. スピードテストやってみた
まずはスピードテスト。
スピードテストの構成図
今回はUSENのスピードテストを使用しました。
(http://www.usen.com/speedtest02/)
最初は機器の間隔を20cmに設定してスピードテストを行いました。*4
最大伝送速度が10Mbpsなので、約90%のスピードが出ていますね。*5
その後、装置の間隔を10m程度に変更して10回スピードテストを行いました。
試行回数 |
スピード[Mbps] |
1 |
9.189 |
2 |
9.214 |
3 |
9.156 |
4 |
9.214 |
5 |
9.166 |
6 |
9.166 |
7 |
9.167 |
8 |
9.167 |
9 |
9.163 |
10 |
9.188 |
平均値 |
9.179 |
装置の間隔によるスピードの違いは、誤差の範囲内と言って問題ないと思います。
3. 2. 光を遮ってみた
光による無線通信ということで、装置間に障害物があると通信が途切れてしまうことがあります。
試しに養生テープや緩衝材の薄いスポンジで遮ってみましたが、
若干通信強度が落ちることがあっても、通信には問題ありませんでした。
製品試験では豪雨や濃霧などの悪条件でのテストもされているそうなので、予想以上に切れづらいです。
当たり前かもしれませんが、手で完全に覆うと切断してしまいます。
通信強度が0になってしまいました。(赤丸で囲った部分)
3. 3. 鏡で反射させてみた
最後に鏡で反射させても通信できるのか実験してみました。
角度の調整がシビアでしたが、 問題なくインターネットに接続できました。
わかりづらいですが、受信強度を示すLEDが光っていますね。(赤丸で囲った部分)
4. まとめ
今回の実験では最大伝送速度の約90%のスピードが出ていたので、今後100Mbpsに対応したときが非常に楽しみです。
天井など、障害物が少なく人が光を遮りづらい場所に設置すると、通信が切断されることなく使えると思います。
弊社では監視カメラシステムに、この光無線装置を活用しております。
興味がございましたら下記のリンクをご覧ください。